お経とはお釈迦様のお説法を文字に表したものであり、浄土真宗においては「浄土三部経」という三つのお経を大切にしていると前回書かせてもらいました。ではなぜ「浄土三部経」を特に大切にするのか、数ある他のお経と何が違うのでしょうか。
まずすべてのお経は基本的に、お悟りを開いて仏に成るという仏教徒としての共通目標に至るための方法、つまり修行や生き方や考え方などが様々な方便でもって論理的に説かれています。ですから、仏という山の頂上に向かってお経の数だけ道や登り方があると考えてもらえればイメージし易いかと思います。その中から自分に合った道、つまりお経の教えを実践していくのが仏教であり、同じ仏教の中で異なった宗派が存在するのは、頂上に至る為の道や方法に対する考え方の違いなのです。
そのような数あるお経の中で、浄土真宗の「浄土三部経」はどのような特徴があるのかと言うと、この3つはどれも阿弥陀様の願いであるお念仏を勧めてくださる教えが説かれていることが最大の特徴です。お念仏とは「なんまんだぶつ」と口にとなえることですが、お念仏するところにもうすでに阿弥陀様の救いのはたらきは届いているよと気づかされるのです。