『正信偈(しょうしんげ』
普段のお勤め 「正信偈(しょうしんげ)」
これまで浄土真宗における大切なお経典、『浄土三部経』についておおまかなお話をさせていただきました。しかしこれらのお経は、普段ご家庭やお寺でのお参りの際によくお勤め(お経を読むこと)するかと言えばそうでもありません。
特にこの三部経の中でも『仏説無量寿経』『仏説観無量寿経』については、基本的にご法事やお寺での特別な行事・法要等でお勤めされることがほとんどです。普段はなかなか一緒にお勤めする機会の少ないお経です。逆に三部経の中で最も短い『仏説阿弥陀経』は、例えばご命日のお参りや月忌参りや納骨の際等、前の二部と比べると比較的一緒にお勤めしたり聞いたりする機会も多いお経です。
しかし浄土真宗において普段ご家庭でのお勤めや月忌参り、お寺での法要などで一緒にお勤めする機会が圧倒的に多いのは「正信偈(しょうしんげ)」だと思います。
「きみょー むりょー じゅにょらい(帰命無量寿如来)…」という初めの一句を聞けば、知っている方聞いたことがあるという方もおられるのではないでしょうか。もしお仏壇に『日常勤行聖典』という赤いお経本がある方は、ぜひ開いてみて下さい、その中で一番初めに載っているのがこの「正信偈」です。それほど、浄土真宗においては日常的に親しまれてきた“お経”なのです。
ここで“お経”と表現しましたが、「正信偈」は正確にはお経とは異なります。『浄土三部経』のようにお釈迦様が説かれたものではなく、浄土真宗の宗祖であります親鸞聖人が作成された“偈文(詩の形でまとめられた文)”です。しかし浄土真宗の者にとって、普段からご家庭や法要などで一緒にお勤めする機会も多いことから、敬いや親しみを込めて「正信偈」を“お経”と呼ぶのです。
次回からは普段のお勤めとしての「正信偈」について、少しではありますがお話していこうと思います。この文を読んだ方がご法事や法要等で、一緒にお勤めしてみようと思ってもらえたならうれしい限りです。