お経のお話 其の四

『仏説無量寿経(大経)』について

今回から浄土三部経をそれぞれ紹介してみたいと思います。まずは、『仏説無量寿経』についてです。

 『仏説無量寿経』は通称『大経』とも呼び、三部経の中でも最も大切なお経です。親鸞聖人は、この『仏説無量寿経』こそ真実の教えが説かれたお経であると讃えられています。その中身は、なぜ阿弥陀様は厳しい修行を終えて仏と成られたのか。なぜお念仏という方法で私のもとに届いて下さるのかという、いわば阿弥陀様の履歴書のような内容が説かれたお経です。

 その中で特に大切なのが、阿弥陀様が誓われた「本願」と呼ばれる願い(誓い)が説かれるところです。阿弥陀様はまだ仏に成られる前の修行時代に「全てのいのちあるものを必ず仏と成らせる、私はそのような力を持つ仏と成ります」と誓われ、長い修行の末ついに、自らの誓いの通り「お念仏申すものを必ず仏と成らせる」力を持った阿弥陀仏と成られたのです。

 阿弥陀様のお念仏による救いとは、それまでの仏教の常識とは全く異なる方法でした。それは前回も少し書きましたが、私たちが頑張って修行して仏に近づくのではなく、阿弥陀様の方で私が仏と成る準備を全て整え、届けて下さったのです。阿弥陀様の「私(阿弥陀)の名を呼んでくれ、ナンマンダブツとお念仏するところにすでに救いのはたらきは届いているよ」という呼び声を聞いたとき、「ナンマンダブツ(南無阿弥陀仏)」とその呼び声のままにお念仏させていただくのです。

 阿弥陀様は私自身が仏と成る準備をすでに100%整えてくださいました。私の方が阿弥陀様の呼び声に気づかなかっただけで、じつはもう阿弥陀様の救いのはたらきのど真ん中にあったのです。『仏説無量寿経』とは阿弥陀様が、仏教に背を向けていた私を決して見捨てることなく救わんとするお慈悲の心と、私の為のご苦労を聞かせていただくお経です。